2026-07-30

日本最古の地下鉄『銀座線』の歴史と、今も残る幻の駅の秘密

東京メトロ銀座線は、1927年(昭和2年)に上野〜浅草間で開業した、日本および東洋で一番最初の地下鉄です。その誕生の裏には、一人の実業家の強烈な執念と、当時の最先端技術の結集がありました。

早川徳次とロンドン地下鉄の衝撃 銀座線の生みの親である早川徳次は、1914年に視察先のイギリス・ロンドンで初めて地下鉄に乗車し、その利便性に強い衝撃を受けました。「東京にも必ず地下鉄が必要になる」と確信した彼は、帰国後、地質調査や交通量調査を独自に行い、地下鉄建設のプランを練り上げます。当時の日本は「地震国で地下に鉄道を通すなど不可能だ」と猛反対を受けましたが、早川の熱意はついに実を結び、「東京地下鉄道」の設立へと至りました。

アジア初の地下鉄開業と熱狂 1927年の開業日、上野駅と浅草駅には地下鉄を一目見ようと大群衆が押し寄せ、乗車待ちの列が1時間以上途切れることがなかったと記録されています。当時の車両(1000形)は、鮮やかなレモンイエローに塗装されており、車内はマホガニー風の木目調、間接照明を採用するという非常にモダンなデザインでした。現在の銀座線1000系車両は、この初代車両のデザインをオマージュして作られています。

第三軌条方式という選択 銀座線には、パンタグラフや架線(頭上の電線)がありません。これは「第三軌条方式」と呼ばれる、走行用レールのすぐ横に敷かれた3本目のレール(サードレール)から集電するシステムを採用しているためです。この方式を採用したことで、トンネルの高さを低く抑えることができ、莫大な建設費を削減することに成功しました。この方式は後に丸ノ内線でも採用されることになります。

幻の駅「萬世橋駅」と「表参道駅(旧神宮前駅)」 銀座線の歴史の長さを物語る存在として「幻の駅」があります。 末広町駅と神田駅の間には、かつて「萬世橋(まんせいばし)駅」という仮設駅が存在しました。神田川の地下を掘る難工事の期間中、わずか2年弱だけ営業していた駅です。現在でも、列車の窓から真っ暗なトンネルの奥に、かつてのホームの跡(空間)を確認することができます。 また、現在の表参道駅の近くにも、旧「神宮前駅」のホームがそのまま残されており、資材置き場などとして使われています。これらの遺構は、90年以上の歴史を持つ銀座線ならではのロマンと言えるでしょう。